popo
kibito

(compare notes records : cn-0011)
1,575円(内税)
リリース:2006年8月10日

SONG LIST:
1. boat
2. pine
3. S.F.
4. 風船
5. 木人
6. bye bye bye
7. パンを買いに
8. rockin' J
9. echo
10. gold rush
11. boat(Reprise)
12. starry night


 POPOの音楽を耳にした瞬間、誰もが少しだけ戸惑うことだろう。それは、斬新な音楽が人の心を奪うような衝撃とは逆のベクトルにある、「こんなにもシンプルな形で音楽が成立するんだ」という静かな驚き、のようなもの。もちろん、少ない音素で成立する音楽は山ほどある。ただ、彼らの音に向き合ったときのざわざわと心が震える感じ、それは初めて自ら選択して好きな音楽に出会ったときのあの感覚に少し似ている。森の小人が編み出したかのような朴訥な旋律、それをミュートと抑揚の効いた2本のトランペット(時にリコーダー)が丁寧に追い掛ける。歩みをサポートするのは、極上のダブ・マナーを感じさせる穏やかなオルガン……優しいメロディに心をくすぐられながら、気付くと僕らは空気の音を聴いたり、全く別のことを考えたりしている。それが、POPOの音楽。
 今は亡きトロンボーン奏者・大原裕の追悼ライヴにおいて、その天上の旋律を描き出すために結成されたのがこのトリオ。トランペット&リコーダー(+アナログ・シンセ)には、「トランペットを吹かないトランペッター」としても知られるフリー・インプロヴァイザー江崎将史(もちろんPOPOではたっぷりと吹きます奏でます!)、大原裕のブラスバンドLIVE! LAUGH!にも参加し、現在はかきつばたやTHE FOX、XOEXAB等々、関西アンダーグラウンド・ポップスの金管を一手に担う山本信記、そしてオルガンには、かつてmama! milkの清水公輔とのPIG FAT PIGSや大宮イチとの大博士での活動はもとより、オクノ修や渕上純子をサポートし、京都では知る人ぞ知る笑顔のオルガニスト喜多村朋太。この一癖も二癖もある輩にも関わらず、その毒牙を隠し通して(いや、もちろんバレているけれど)、ひとつひとつ丹念に音を紡いでいく。その姿は、時に職人的な気高さと初めて楽器を奏でた時のピュアネスが見事に同居していると言えよう。
 本作は、彼ら3人に加え、東京アンダーグラウンド・ジャズ界最高の才人/洒落人・中尾勘二が破天荒なドラムで参加、また、宇宙を感じさせるスライド・ギターは、OUTO、Rise from The Deadでの活動で知られるMOTSが担当。POPOの世界観をより大きなものに昇華している。
 そんな特別な音楽に突き動かされるミュージシャンも数多く、USインディ最高のスマイル・アイコン、ジャド・フェア(ハーフ・ジャパニーズ)は、彼らの演奏にかぶりつき、終演後握手を求めてきたという。また、ジャドの来日に帯同した奇才ロブ・エリクソンは、彼らの音楽を称して「パーフェクト・ミュージック!」と大絶賛。また、山本はスコットランドの怪人ビル・ウェルズのトリオ公演において、ビル、そしてベル&セバスチャンのスティーヴンと共演、フロントアクトを務めたPOPOも高い評価を得ることとなる。また、今年の2月には、大友良英のビッグバンドONJQの京都公演をサポート。彼らの静かで小さな音楽が、今、ゆっくりと浸食し始めているのだ。

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